小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。第一部

小出裕章氏講演会~考えよう、わたしたちと子どものあした。第一部
福島 2012/1/21 第一部

<第一部・前半>
http://www.ustream.tv/recorded/19898883

地球には水がある
命が根付ける
この星は46億年前にできた
何億年経って、地球が冷え、水ができ、大気が出来
宇宙に飛び交う放射線が遮られるようになって、ようやく命が生まれるようになった
幾つかの命が絶滅した
約400年前、人類がうまれた。
何十年年前、狩りというものを覚える
約一万年前、農業を覚える
エネルギーを使う動物
200年前の産業革命から、人間は膨大なエネルギーを使うようになった
地球誕生の46億年前を460mだとすると、
人類誕生、400万年前:40cm
産業革命、200年前:0.02mm
人類が膨大なエネルギーを使うようになったと同時に、種の絶滅が急増した
人間は他の種をどんどん絶滅に追い詰めている

生き物の不思議
私たち一人ひとりのいのちの始まりは万能才能と呼ばれるたった一つの細胞です
それが細胞分裂を繰り返し、おとなになったときには60兆個の細胞になり、それぞれの細胞の固有の役割だけを分担するようになります
DNAが同じなのに、それぞれがそれぞれの役割をするようになる不思議、、、
万能細胞が細胞分裂をくりかえし、同じ細胞を作り続けていく
万能細胞の分裂があると形になって、とどまって成長していく
魚、サンショウウオ、亀、ニワトリ、豚、牛、うさぎ、人間
人間の胎児、十月十日、非常に活発に細胞分裂をくりかえしながら、人間という生き物になる
赤ん坊は活発を細胞分裂を繰り返しながら、毎日見ても面白いぐらいに成長し、大人に近づいていく
生命の成長の不思議は、遺伝情報というものに書かれています
「すべての命は、他の誰でもないその命です」
地球上の70億人の人がいると言われていますが、誰一人として同じ人間はいない
みんな違う掛け替えのないいのち

はじめはたった一つだった万能細胞が、父親と母親の遺伝情報(DNA)をもらいますが、それに全てが書きこまれています
遺伝情報はみんな違う
70億人の遺伝情報の全部が違う
それを、細胞分裂を繰り返しながら正確に複製することで、いのちを維持します
細胞の中に書くというものがあって、その中に染色体というものがある
染色体は日本の糸がからみ合って一本の糸になっている
日本の糸を結びつけているのが塩基という物質
DNAの二重らせん構造
細胞分裂、らせんがほどけながら、全く同じにほんのらせんを複製する
二重らせんになっているDNA分子の幅は2ナノ(10億分の2m)メートル、長さは合計で約1.8メートル
1.8メートルのDNAが細胞ひとつひとつにある
人間の60兆個の細胞の一つひとつにある
0.2mmの糸でDANが出来ているとすると、180kmになる
180kmの寄った糸を、ほどきながら全く同じ糸を複製していくということが想像できるでしょうか
私は神を全く信用していませんけど、まさに神業という不思議なことを、命の全てがやっている

生き物と放射線は相容れない(放射線のエネルギーの巨大さ)
細胞は分子の結合によって出来ている
分子の結合のエネルギー:数eV (エレクトン・ボルト、たいへん微小なエネルギー)
X線のエネルギー:〜100000eV (数万倍)
X線が身体を貫く時、DNAはズタズタに引き裂かれる
ほんとうに必要でない限りはX線は受けないほうがいい
セシウム137のガンマ線:661000eV(数十万倍)
わたしは先程から、遺伝情報を正確に伝えていくのが生命の不思議の核心だと聞いていただいたけど
放射線の巨大な破壊力
放射線は、遺伝情報が書きこまれていたDNAの簡単に切断する

そういう放射線がどういう危険を持っているか、ながいあいだ研究された
調べられた対象は、一番中心的なのは広島と長崎で原爆を被爆したひとたち
六十数年間にわたって調査してきた
その結果わかったことは
学問の到達点 BEIR-Ⅶ報告(2005年)
利用できる生物学的、生物物理学的なデータを総合的に検討した結果、委員会は以下の結論に達した
「被曝のリスクは低線量に至るまで直線的に存在し続け、しきい値はない」
しきい値は、それ以下は安全だ、だいじょうぶだ、ということですが、そんなものはないと言うのです
被曝というものはどんなに少なくとも危険が伴うということを報告は書いている


<第一部・後半>
http://www.ustream.tv/recorded/19899630

広島の原爆が燃えた時のウランの重量は800g
800gのウランが燃えると800gの核分裂生成物(死の灰)が出来る
100万キロワットの原子力発電所では、一年間に1トンのウランを燃やす
1トンのウランが燃えるということは1トンの核分裂生成物が出来る
311の原発事故で、その内のかなりの部分が出てきてしまった。
今現在までに福島原子力発電所から放出された放射能の量は、(大気中にばらまいたものだけでも)広島の原爆の数百発分ある
海にもどんどん流れて行っている
大気中の放出されれた放射性物質でどんな汚染が生じたか

ー汚染地図参照ー

私は放射線管理区域というところ仕事をします
放射能を取り扱うときは必ずそこに入れと決められている
そこに入ったら水を飲むことも食べ物を食べることも出来ません
タバコを吸うことも許されません
勿論そこで寝てもイケません
子供なんかを連れては言ってはいけないという場所が放射線管理区域です
私がもし、もうそろそろそこから出たいといっても、そこから出られないのです
なぜなら、私が放射線管理区域で仕事をしたのであれば、私の実験着が放射能で汚れているかもしれない、実験道具が放射能で汚れているかもしれない、私の手が放射能で汚れているかもしれない
放射能で汚れているとすると、普通の皆さんに放射能の汚染を与えてしまうことになる
管理区域から出るときは汚染がないか調べねばならないことになっている
その基準が、1平米あたり4万ベクレル
それを超えて汚染されたなら、実験着や実験道具は置いていけと言われる
もし手が汚染されていたら、薬品をつけてての皮が溶けてもいいから、きれいにしなければ出られないという
それが日本の法律


地図のブルーの区域は1平米あたり6万ベクレルに、大地そのものが汚れているのです
緑色のところは1平米3万ベクレルに汚染されている
私から見ると想像を絶する汚染
そんなところに人々がいてはいけない
私のようなごくごく特殊な人間が、ごくごく特殊な仕事のために入っていい、それが放射線管理区域
普通の人が入ってはいけない、ましてや子供なんか入っていけないという汚染がこんなに広がっている
福島県の東半分を中心として、宮城県と茨城県の南部・北部、さらに、栃木県、群馬県と千葉県の北部、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域が、放射線管理区域にしなければならない汚染を受けた

この事実を目の前にして、国は一切の法律を反故にしてしまった
福島の皆さんを含め、もう勝手にそこに住めと
国は何の保証もしない
逃げたい奴は勝手に逃げろと
あとは諦めてそこに住めと、いうことになりました

日本は「法治国家」か?
国民が法律を破ると国家は処罰する
それなら、法律を守るのは、国家の最低限の義務であろう
日本では、一般人は年間1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないし、させてはいけないという法律がある
放射性管理区域から、1平米あたり4万ベクレルを超えて放射能で汚れたものを管理区域外に持ちだしてはならないという法律もあった
福島原発事故を引き起こした最大の犯罪者は政府であり、その政府は事故が起きたら、それらをすぐに反故にしてしまった
福島の人たちも、みな放置されてしまうことになった


どちらを選ぶか
福島市は汚れているのです
福島駅の放射線量は東京駅のほぼ十倍でした
ここに住んでいる限り、皆さん被曝をするしか無い
被曝による健康被害
私は皆さんに何とか逃げて欲しいと、実は思っている
特に若い人達には逃げて欲しい
しかし、国家はなにも責任を取らない、逃げたい奴は勝手に逃げろと言っている
そういう時に本当に人々は逃げることが出来るかと、多分できないと、私は思う
仕事を捨てて別のところに行けば、生活が崩壊することになるだろうと思います
子供だけは逃がしたいと思う人は勿論いて、これまでも福島の人たちが各地に逃げて行っています
仕事をしている父親は福島県に留まるということになる
そうすると今度は家庭が崩壊してしまう
避難をすれば生活が崩壊してしまう
心が潰れてしまうということになる
本当にどっちにしたらいいのか、実は私にもわからない、そういう状態になっています

必ずやりたいと思っていることがあります
それは、子供たちを被曝から守りたいということです

原子力を選んだことに責任のない子供たちは放射線に敏感
放射線ガン死の年齢依存性
一万人・Svあたりのガン死数(白血病は除く)
例えば私が1Svの被曝をするというとき、私のような人間が一万人集まってくれば、合計の被曝量が一万人Svになる
皆さんは年間1mSv以上浴びてはいけないと言われている
1Svからみれば千分の一です
人数としては一千倍集めてこなくてはいけない
つまり一千万人
1mSv浴びたが一千万に集まった時、どれだけのガンがでるか
一千万人の人が30歳であったとすれば、3855人がガンでなくなる
全年齢平均3731人
子供は猛烈な勢いで細胞分裂するが、大人になってしまうと細胞分裂はしなくなる
年をとるに従い、ガンになる危険も少なくなる
55歳で49人
ほとんど被曝などしても危険をおわないでいい
逆に子供は大変です
0歳で15152人
大人の何十倍も何百倍も危険
原子力を許してきた私たち大人は、もう放射線の感受性がない
それに対して、原子力に何の責任もない子供に、猛烈な危険を持っている
なんとしても私たち大人が、きちんと自分の責任を自覚して、子供たちを放射線の被曝から守ることを、これからヤラなければいけない


残念ながら日本の政府は、全くそれをやろうとしない
どうすれば、こどもを被曝から守ることが本当に出来るのか、私にはよくわかりません
第二部で私が思っている方策をいくつか聞いていただこうと思っていますが、大変難しいことだと思います
ここに参加してくれている子供たちも、どうやったら被曝から逃れられるか、とても難しい課題だと思います
でも、被曝をするということはどんな意味でも危険を伴う
少しでも被曝をしないように心がけることが大切だと思います
終わります。
ありがとうございました

<質問コーナー>

子供の質問:大変単純なことなんですが、原子力発電所はなんで作られたんですが?

小出教授:大変単純ですが、難しい質問ですね
人間はある時から、エネルギーを沢山使うと幸せになれると思ってしまった
スイッチを入れればいつでも電気がつくと、皆さん当たり前に思っていますが、
日本で電気が使えるようになったのはわずか120年前なのです
その前は電気なんてなかった
でも、電気が使えるようになったら、私たちは次々と電気を沢山使いたがるようになった
照明だってどんどん明るくしたくなったし、電気製品だって山ほど使いたがるという、そういうことになってきた
人間がどんどん欲望と言うか、あれもほしいこれもほしい、便利に行きたいと思ってしまって、そのためには石炭や石油を燃やしたりやってきたけれど、それだけでは足りないと、もっともっと電気が欲しいんだ、もっともっとエネルギーが欲しいんだと、私たちは思ってしまって、ある時に私たちは原子力発電をやろうと、してしまったのです
私は実はそれは間違いだと思っているし、人間がこんな風にエネルギーがあればいい、電気があればいい、もっともっと使いたいとそう思う限りは、やがて人間は絶滅してしまうだろうなと思っているので、若い人達もどうやってこれから豊かに、環境をあまり壊さないで、生きて行かれるかということを、考えて欲しいと思っています
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by wtwong | 2012-01-22 17:12 | essay