(放射能からの自衛)南相馬ダイヤログ・リポートno.1

2月18日19日「南相馬ダイヤログ」というイベントに、私たちも参加した。
http://minamisomadialog.iku4.com/
このイベントは南相馬の、それぞれ活動をしているグループが一同に集い、横の繋がりと結束を固め、これからの南相馬を皆で考え、助け合っていこう、そして内外の人々とも繋がっていこう、そしてそれは「ダイヤログ(対話)」から始めよう、と云う趣旨だ。
私はその趣旨に賛同し、演奏するだけでなく、前日の最初のイベントから参加したのだった。
南相馬との繋がりは、昨年8月に亡くなられた社会運動家、加藤哲夫さんに高橋美加子さんを紹介していただいたのがキッカケ。
美加子さんは、南相馬の若い活動家たちのお母さん&お姉さん役、バリバリチャキチャキの、張り切りおばさんなのだ。
私たちは南相馬に初めて行ったのは昨年の9月。
鎌田實先生や柳田邦男さんのイベントに、演奏で参加させて頂いた。
その時の南相馬の印象は、怒り、断絶、不信、苛立ち、ネガティブなもので覆われて、重苦しい空気が充満していたと思う。
しかし、今回の南相馬は、一転して、とても軽く明るい、そして、ある覚悟のようなものを感じとることが出来た。
南相馬の真冬の熱い数日間の、とりわけ印象に残ったエピソードを、数回にわたってリポートしてみたいと思う。
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一番、気になっていたのは、やはり放射能汚染問題だ。
彼らが放射能に対してどのように向き合っているのか。

私は花粉症と鼻の粘膜が過敏なこともあって普段からマスクをしているのだが、もし南相馬で誰もしていなかったら、私もしないと決めていた。
昨年9月、ある南相馬の青年が「マスクをしていると気が滅入るんですよ」と言っていたのが耳に残っていた。
ふるさとは放射能に汚染されてしまった、それを他の人に指摘されることほどつらいことはないだろうと思う。
しかしそれは杞憂だった。
市内を歩いている人々の約半数の方がマスクをして歩いている。
そして、イベントの参加者に対してプレゼントグッズが渡されるのだが、驚いたことに、その中に50枚入りのマスクケースが入っていたのだ。
彼らはマスクで内部被曝を自衛するよう、市民に呼びかけているのだ。

南相馬の病院はいち早くホールボディーカウンターを導入した。
子供たちの内部被曝は多くても10ベクレル/Kg前後に留まっていて、それは以前より下降しているという。
この様な環境下で、この数字は素晴らしいと思う。
南相馬のお母さんたちは、子供の内部被曝を最小限にするために、最善を尽くしているということだ。
バンダジェフスキーの資料を見ると、心臓に何らかの影響が出始めるのは20ベクレル/Kgからだ。

しかし、病院でホールボディーカウンタの検査を子供に受けさせているのは、放射能に対して神経を払っていているお母さんたちであって「それ以外の子供たちの内部被曝がどうなっているかわからないのです」と<アクティブ&セイフティー福島>(南相馬の線量マップの作成したグループ)代表の高橋慶さんの談。
ホールボディーカウンターは日に200人、一年で2万人しか受けられない。
現在、約4万人の人口の全ての人を定期的に受けさせるためには充分な数とは言えない。
(南相馬の311以前の人口は約7万人)

私達の楽屋には美味しいおにぎりやお雑煮、サンドイッチが用意されていた。
それらは「県外から取り寄せたベクレルフリーの食材で作ったのよ」と、<つながろう南相馬>のメンバーたかむらさんが一言。
彼らはお客さんである私たちに汚染された食べ物を食べさせたくないと考えたのだと思う。
その気遣いに、そして地元の食材を振る舞えないことの悲しみに、涙が出そうになった。

外部にいると、地域の人々が被曝リスクに対して無頓着で、国や県の喧伝を鵜呑みにして、無防備に子どもを被曝させていると考えがちだ。
そんなことは全くない。
彼らはしっかりの学び、しっかり考え、しっかり自衛している。
もちろん、私たちが出会っているのは、地域の中でも、其の様な意識を持った人たちだとは思う。
でも彼らの輪はどんどん広がっている。
今回の「南相馬ダイヤログ」の試みは、市民だけでなく、福島県を始め、他県の人たちからも注目を浴びて、多数参加していた。
今回の試みが、どのような展開に繋がっていくのか、注目したい。
(つづく)
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by wtwong | 2012-02-22 17:03 | essay