軽トラの母子

 またひとつ忘れていた、エピソードを思い出した。高校時代、友人のフォークソングのグループにウッドベースで参加していた。楽器は持っていなかったので、ウッドベースを友人のミュージシャンのお父さんから借りることになった。しかし大きなウッドベースの移動がめちゃ大変で、タクシーで運ぶしかなかった。

 ある日、タクシーに乗せようとして、右後方のドアーを開けてスッタモンダしていたら、軽トラックがタクシーの後ろから回りこむような形で左折してきた。その時にドアーを引っ掛けてしまい。ドアーを無理やり開いたような形になっちゃった。バリっと大きな音がした。私はその時、軽トラックの左まどに小学生ぐらいの少年が頭を出して寄りかかるように寝ていたのを瞬間的に見た。もしや彼が怪我をしたのではビックリして、急いで軽トラックに走り寄った。軽トラックは止まって、私が駆けつけた時、運転をしていたお母さんが少年を叱責している。多分私が駆け寄ったのはその少年が悪さをして、私が怒って駆け寄ってきたと勘違いしたか、自分の問題を子供のせいにしたか、今はわからない。私は母親に子供を怒るのを止めさせ、怪我はないか聞いた。幸い怪我はなく、ほっと胸をなでおろした。

 しかし、タクシーの右後方のドアが壊れてしまった。それは軽トラックを運転していたお母さんの不注意となって、弁償させられたことだろう。その軽トラの親子がどんな生活背景があるかわからないけど、弁償がどれだけ負担だったろうと思う。いかにも生活疲れしているお母さんと子供の二人の姿が思い出される。私があんな大きな楽器を入れるために、左後方のドアを開けなければ、こんな事にはならなかったと、タクシーの運転手がいかにも苦々しい顔を私に向けたことを、私は今になって思い出している。あの親子は今、どこでどうしているだろう、、、
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by wtwong | 2014-08-13 14:37 | essay