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<地下500m、10万年のメタフォー>ウォンウィンツァン

<地下500m、10万年のメタフォー>
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今日は、地下500mまで潜ってきました。
瑞浪超深地層研究所です。
つまり、放射性廃棄物を地層処理するための技術ノウハウを研究するところです。
田口ランディさんの企画で、所謂アーティスト系の人々が集まりました。
アーサー・ビナードさんもいらっしゃって、ディスカッションでは色々発言されていました。
この研究所の視察は、どなたでも出来ます。
https://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku.html
放射性廃棄物の処理に関する技術的な問題をお知りになりたい方は、是非、直接申し込んで、現地をご覧になってください。。
丁寧に、いろいろ説明してくれます。

さて、私が疑問に思ったことだけをここに書かせていただきます。
(1)原発に使われる濃縮ウランのうち、95%は再利用され、5%が放射性廃棄物とし処分される。
使用済み燃料は、現在の総量、1.8万トン!
その5%は、埋葬されるガラス固化体にして2万5千本相当に当たる。
現在計画されている地下処分場(場所未定)には4万本が埋葬可能だと言う。
そのコストは3.7兆円で、それは各電力会社、つまり私達が払う電気代金で賄われる。
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さて残りの95%が再処理されて、MOX燃料となる。
でも、一回しか再利用されない。
という事は、やはり5%だけじゃないと思うけど、、、
因みに再処理された場合、その容量は1/12になると言う。
ん〜〜4万本、3.7兆円で終わるとは思いにくい、、、
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(2)地層処理の研究開発、事業運営は「原子力発電環境整備機構(NUMO)」がやっている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/原子力発電環境整備機構
この組織のメンバーは、各電力会社から派遣されていて、つまりは原発推進せねばならない人たちの集まりなのだ。
組織の職員が私にバリバリの原発推進言説を繰り広げていた。
311以降、原発の是非を散々議論してきた私としては、もういいよって感じだった。
彼に「組織の職員の中に、反原発を言う人はいないのか?」と聞いてみた。
首を傾げていた、、、
原発を再稼働させることが出来なければ、それらは全部負債になる。
電力会社が倒産すれば、彼等も職を失うのだから、必死かもしれない。

でも、どうなんだろう。
放射性廃棄物の処理を彼らに任せていいのだろうか?
もっと中立的な立場にある組織でないと、嘗ての原子力保安庁のように、どうしょうもなくなるのでは、という懸念が私にはある。
彼等が必死だけに、、、
一応、原子力規制委員会の検査、監査があるとは言うが、、、

NUMOの技術担当者の説明には誠意を感じられて、好感をもった。
しかし、今回の参加者から聞こえてくる声は「不安」であったり「不信」であったり、、、
原発をどうして導入したのか、という「そもそも論」も出てきた。
NUMOがどんなに誠意を持って説明努力をしたとしても、向こうサイドの人間の言葉を、信頼することはなかなか難しい。
私は、中立的な、第三者機関を設けるべきではと思う。
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私が得た結論は「保留」だ、、、
まだ何もかも煮詰まっていないと思う。
電力会社側としては地層処理が決まらないと、再稼働もままならないのだろうか?
だが私たちが、原発を止めることが国レベルで決められない限り、地層処理を許容することは難しい、、、
それも、今回の選挙で決まる。
推進側が政権を取れば、再稼働も始まり、地層処理事業も進む可能性はある、、、
だがまだ地層処理に名乗りを上げる地域はいない。
自分たちの故郷が放射性廃棄物を10万年以上、未来永劫抱えることなんて、許せるはずがない。
処分地が見つかるまで、保留にせざるを得ない、、、
嘗て原発が誘致された時は、べらぼうなお金が地域にばらまかれた。
でも311以降、それも難しくなったのかもしれない。
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「そもそも論」で私も憤懣が湧いてくる。
原発問題は今でも責任が有耶無耶だ、、、
でも放射性廃棄物の処理は、嫌がおうにも国民全体の問題になってしまった。
ランディが言うように、国民レベルの議論が必要になっていると、私も思う。