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<年末のご挨拶、パパさんの旅立ち>ウォンウィンツァン

<年末のご挨拶、パパさんの旅立ち>
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 さて、今年も余すところ二日になりました。
今年も皆さんに、大変お世話になりました。
コンサートやワークショップも各地でさせていただきました。
皆さんの応援があって、活動が続けられています。
お陰で、毎日、幸せを感じています。
心から感謝しています。

 今年は今までになく激動の年になりました。
沢山出来事がありましたが、その中でも父の他界は、生涯の忘れがたい大切な体験となりました。

 昨年11月に父が転倒、大腿骨骨折で入院し、その後、今年の1月末に老人施設に入居、そして5月13日、97年間の生涯を遂げました。
病院にも施設にも、私達家族はほぼ毎日のように通っていましたので、みな疲労困憊していた矢先の旅立ちでした。

 父親との別れは、私達家族にとって、掛け替えのない思い出となりました。
亡くなる二日前、真夜中、私は父親と永劫の別れを交わしました。
父の両手を取って「もうすぐお別れだね。私たち家族が幸せなのはパパさんのおかげです。本当に感謝しています。ありがとう、パパ、、、」と話しかけました。
すると父は強く握り返してきて、目からは幾すじもの涙が流れていました。
母や妹や友人を看取ってきましたが、父との別れは、今までにない、ちゃんと向き合う中で交わした、魂の別れでした。

 そして亡くなる前日、私たちはホームでラストコンサートをしました。
パパさん、ホームに居るご老人たちや、その家族たち、そしてホームの職員に向かって、息子の美音志君、歌の枝元一代ちゃん、そして私で、最後の別れの演奏をしました。
父はちゃんと洋服を着替えて、コンサートを聴いていました。

 その翌日、5月13日、六本木でライブ演奏をしている最中、ホームから連絡がありました。
「呼吸に変化があり、至急ホームに戻って欲しい」、、、
私がホームに戻った時、美枝子が「パパさん、さんちゃんがもどりましたよ」と話しかけ、少し安心したようでした。
そしてその直後から下顎呼吸が始まり、もうすぐ別れが近いことが判りました。
私達家族は父をさすりながら、それぞれ別れの言葉を投げかけました。
それから30分ぐらい立った時、静かに息を引き取ったのです。
その時、私には魂が身体から抜けていくのが見えるようでした。

 私は今までに母や妹や友人、そして今回は父を看取らせてもらいました。
それらの体験は私の人生を豊かにしてくれています。
彼等からの大きなプレゼントだと、ほんとうに感謝です。
これらの看取りの体験をベースに、私の師匠、吉福伸逸さんの「死のワークショップ」を始めることにしました。
死ぬこと、看取ること、それらはいったいどのような体験なんだろう。
ワークショップでは、様々な角度から「死」や「見取り」そして「命」を考え、体験していきます。
今年だけで4回のワークショップをさせていただきました。
来年にはもっとブラッシュアップして、医療従事者などを対象にもワークショップをやっていきたいと考えています。

 さて、来年はどんな年になるか、とても楽しみです。
皆さんにおかれましても、幸せで健康な年でありますように、心からお祈り申し上げます。

ウォンウィンツァン
2017-12-30

by wtwong | 2017-12-30 09:10 | essay