2012年 11月 11日 ( 2 )

 ジョン、教えてほしい、私達は一体どうしたらいいのだろう
あなたから預かった、小さな子供は、今も大切に抱いているよ
でも、私たちは崖の上から、虚空に広がる暗闇の前で、途方に暮れている
下の方から潮騒ばかりが聞こえてくるよ

 世界は、本当にひどく結ぼれている
こんがらがって、とてもじゃないけど解けるとは、とても思えないよ
ジョン、教えてほしい、私達は一体どうしたらいいのだろう

 放射能で汚染されてしまった広い地域に、今でも子どもたちや女性たちが住んでいる
これからどんなことが起きるのか、彼らも怯えているのに、どうすることも出来ないでいる
避難することが当たり前なのに、まるで凍りついてしまったかのように、動かない、動けない
避難した人たちは、遠くでひっそり暮らしている、まるで犯罪者のように、、、
そして本当の犯罪者は、誰も牢獄なんかに入っていないよ
日本が壊れてしまいそうなぐらい大きな事故が起きても、誰も責任が問われないなんて、、、

 原発事故のあと、この地震国日本に無用な危険建造物が54基もあることに、私達はようやく気づいたさ
危険なのを承知で、隠蔽と嘘で塗り固めて、お金の力で、無理やり作り続けてきた
もう二度と同じ間違いをおかせないのに、性懲りもなく再稼働させている、させようとしているなんて、正気の沙汰じゃないよ
いつの間にか、10万年もの間、人々に危害を与えつづける使用済み核燃料が、行き場もなく、たまりにたまってしまっている
皆そんなものはもう止めようよ、と言っている
でも、やめない、やめられない、、、

 そんなドタバタの日本に、更に追い打ちをかけるように、領土争いが始まった
幼児的なエゴから抜けられない、老境の元都知事が、目を神経症的にパチクリさせながら「ここは俺達のもの」などと暴走し始めたのがキッカケさ
よりによって、いや狙ったのだろうけど、中国にとって最もデリケートな時期だった

 反日暴動は酷いものだった
日本と中国の血が流れている私にとって、なんとも苦しい、追い詰められた日々だったよ
今回のことで日本も中国も多くのものを無にしてしまったし、たくさん損もしたはず
お互いに失うものばかりだということに、初めから気づいていなかったなんて、本当にバカみたいだ
いや、本当は気付いている
そしてもっと酷いことを企んでいるとしか思えないで、私は不安でたまらないよ、、、

 中国は粗暴で、今にも切れてしまいそうな、そして大きな可能性を秘めた若者だ
国内に沢山の問題を抱え、苦しみもがきながらも、しかし世界の大国に、もうすでになってしまっている
この矛盾だらけの国は、隣国にとって、いかんともしがたい危うい存在だ
しかし日本と中国との経済関係はもうのっぴきならないほど親密になっているのに

 アメリカの武器商人は「中国の脅威から日本を守るには、高性能の武器しかありません、ちょっとお高くつきますが、、、」とうそぶいている
中国と仲良くしようとすると、逆に恫喝されて、日本は情けないぐらい萎縮しちゃう
これじゃいつまで経っても沖縄は犠牲を強いられ続けるよ
原発だってやめられないのは、アメリカのご意向だし

 原発はね、じつは核兵器と密接につながっていることに、私も最近になったようやく知ったよ
核兵器のマイナスイメージを覆い隠すために、あたかも平和のための新エネルギーという仮面をかぶせたのが原子力発電だった
初めから技術的にも、経済合理性も、安全性も、社会保障的にも、破綻していたのさ
それに非核三原則なんて、大嘘だったのさ

 軍事力には、それを凌ぐ軍事力を重ね続ける、全く馬鹿げた危険な浪費のゲームを、中国も日本も止めない、やめようとしない
平和を実現するために、本気になって外交努力をする政治家はいないし、力量のある政治家もいないし、そんな政治家はすぐ潰される
さて、このまま行けば、島を奪い合う戦争が起きないとも限らない
未だかつて戦争が、双方に益になったことはなかった
いや、しっかり益にしている連中がいるのだということを、ナショナリズムという幻想の国家エゴで肥大した世論には、どうもなにも見えないらしい
戦争が人類の属性だなんて大嘘だ
未だかつて陰謀の影がない戦争などなかったぜ

 あの島をね、海人(うみんちゅ)たちは「イーグンクバシマ」と呼ぶんだ
彼らにとってあそこは領土なんかじゃない、生活圏なんだ
琉球人と台湾人たちの生活の場なんだよ
そこに生活しているわけでもない、生きているわけでもない、身勝手な大国主義者たちによって、どうして彼らが排斥されなくちゃいけないだろう
そして戦いが始まれば、一番最初に犠牲になるのは彼らなんだから
これって、あまりに不合理すぎると思わないかい

 私達の希望は、奪い合うのではなく、与え合い、寄り添い合い、ともに幸福を謳歌すること
私達の望みは、憎しみ合うのではなく、愛しあい、違いを認め合い、違いを楽しみ合うこと
それぞれの文化や芸能を楽しみ、共に育み、それぞれの役割をにない、支えあうこと
多様性を認め合い、多様性を生き、それぞれの出生などにとらわれずに、繋がり合うこと
日の出をよろこび、月をめで、うたい、おどり、奏でること
人間として、いのちの根源につながりながら、新しいいのちをそだて、いのちを生ききり、いのちの最後を見届けること、、、、

 ジョン、私があなたの夢を見たのはもう10年も前だったかもしれない
今でも鮮明に覚えているよ
雑踏の中で出会ったあなたは二人の子どもと一緒だった
一人の子供とは手をつなぎ、もう一人の幼い子供を抱いていたね
そして、抱いていた子供を私に託し、あなたは再び雑踏の中へ、もう一人の子どもと一緒に歩いて行ってしまった
あなたの歩みは早く、私は慌てながら追いすがっていったけど、いつかあなたを見失ってしまった
ふと、たどり着くと、そこは崖の上で、その前には深い暗闇が広がっていた
潮騒ばかりが耳を覆い、私は途方に暮れるばかりだった

でもね、ジョン、私は今でもこの小さな子供を大切に抱いているよ
だから、ジョン、これからも私達のそばに居て、一緒に歩みながら、導いてほしい、、、、

ウォンウィンツァン
2012/11/09

(この文章は来る11月18日のコンサート会場にて配布するために書かれました)
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by wtwong | 2012-11-11 09:42 | essay
拝啓 
 早いもので、昨年の浜離宮朝日ホールのコンサートから、もう一年が経ってしまいました。年を追うことに時間が早く感じられるのは、やはり年なんでしょうね(^_^;)、、、。皆様におかれましては、お元気でお過ごしでしょうか。東北の復興はまだまだ道半ばのようですが、仮設住宅に住んでいたワイフの美枝子さんの友人などは新しい家に住み始めたり、すこしずつ復興は進んでいるようです。とは言えローンを抱えたりで、悲喜こもごものようですが、、、。原発事故や放射能汚染はむしろこれからが大変で、地域の方々のことを思うと心痛みます。なにかいい方策はないものでしょうか、、、。早く原子力から卒業して、安定した自然エネルギーの時代が来るといいですね。

 さて、一番最初にお知らせしたいのは、新しいCDのリリースです。ドビュッシーに続き「エリック・サティー」のCDを9月18日にリリースすることになりました。ジムノペディアを始め、大好きなサティーの曲ばかりを集め、自分なりの解釈で演奏できたと思います。自画自賛で恐縮ですが、なかなかいい出来なのではと思っております。自分で聴き返しながら、よくヨーガをやっております。(^_^)/~

 また、同時に、CD「ムーントーク」の同じ年代、1990年の9月、釧路、帯広、札幌で行われたコンサートを収録した音源をリリースします。これはインターネットのダウンロード販売のみとなります。演奏も録音状態も良好で「ムーントーク」がお好きな方には、きっとおきに召していただけるのではと思います。聴きかえすと、コンサート活動を始めたばかりの初々しさと必死さが伝わってきて、とても愛おしい気持ちになります。

 さて、例年の浜離宮朝日ホールのコンサートを11月18日(日)に行います。朝日ホールのベーゼンドルファーのやさしい音色と、ホールの美しい響きは、すっかり私のお気に入りになってしまいました。昨年のお客様からステージに上がれなくて残念だった、というコメントがありましたので、今年は一昨年のようにステージに上がっていただけるようにする予定です。

 今年のコンサートは、大きな意味で「平和」がテーマになりました。領土問題などの国家間の緊張は、日本と中国の血が流れている私にとって、いたたまれなく、抑うつ的な気分が続きました。どうやったら隣人同士が仲良くなれるのだろうか。回らない頭で、その事ばかりを考えています。日本全体が幸福になるには、平和が脅かされないことが必要だし、その為には隣人たちとの和解は欠かせないと私は考えます。しかし、それを阻むのがある。

 戦争はいとも簡単に始まります。アメリカの911,アフガン戦争、イラク戦争を見ればだれでもわかります。結局一部の支配層の利権のための戦争だった。犠牲者はアフガニスタンやイラクの一般人だけでなく、米国の兵士たちも沢山亡くなり、今もって帰還兵の自殺が絶えません。人々に深い癒えない傷を残しました。利益を得たのは軍需産業と石油利権者だけ。アメリカが疲弊した今、軍需産業が次に狙うのは極東ではないのか、と勘ぐってしまうのは私だけでしょうか。このまま行けば憲法9条は改正され、核兵器配備をするのだろうかと、時々悲観的になったりします。

 戦争はどんなふうに始まるのでしょう。戦争を始めさせたい工作員が、それぞれの国でナショナリズムを煽ればいい。工作員たちは人々の不安とエゴを挑発するのはお手のものです。「敵は領土を奪おうとしているぞ。敵がせめてくるぞ。」古来から戦争の原因は領土問題でした。尖閣や竹島は戦争をしたい人たちにとって格好の材料でしょう。部外者の私がどうしろということは言えません。ただ、もともと地球も土地も誰のものでもなかったし、国境という線もなかったと言いたい気がします。

 平和を実現するのはとても難しい。例えば911が起きた時、アメリカ国内で報復すべきでないと訴えた人はごくごく僅かでした。911の犠牲者の家族が、自分たちを戦争の理由にするなと訴えて、非国民にされました。近代の戦争で、見えない支配層による謀略の匂いのしないものはありません。しかし、誰もそれに気づかずにいとも簡単に戦争に突入して行きました。あの第二次大戦もしかりです。平和を実現するためには結局、私たち一人ひとりが、絶対戦わないことを覚悟するしか無いのだと思うのです。ある方が「平和を実現するためにはすごい努力が必要だ」と言っていました。勿論努力も必要ですし、それにもまして覚悟と勇気が必要なのだと、強く思う今日この頃です。

 日米中韓の現在の経済的なスティックホルダー(利害関係)はかなり親密で、戦争など起きようもないと、私も考えます。でも、決して油断してはならない。出来ることなら経済だけでなく、政治的にも文化的にも親密になり、お互いの交流を深め、より平和でクリエイティブで、それぞれが個々の幸福を実現するための、平和が脅かされない、豊かな環境を実現するために、みんなで努力していきたい。そして自分自身も日本と中国の架け橋になって行きたいと、密かに心しているところです。ぜったい平和を守りたい、守らねばならないと、ジョン・レノンのイマジンを聴きながら、この文章を書いています。

ウォンウィンツァン
2012/09/06

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by wtwong | 2012-11-11 00:01 | essay