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尖閣を「共通生活圏に」
先島住民は平和的解決願う。
谷本大岳氏(宮古島、61才) 

沖縄タイムス・論壇・2012年10月25日からの転載です。

「尖閣諸島」問題で日中関係が極度に緊張している。この事態を憂慮する。アメリカのアジア回帰作戦に従い、そのいを体現する日本政府は、これを奇貨として自衛隊の南西諸島展開で対応し、ますます緊張を激化させている。先島の住民は、無益な挑発を戒め、係争地であるとの立場で共通の「生活圏」とすることを提唱している。
 およそこの諸島をめぐっては、矛盾だらけの「固有の領土」論が跋扈し、歴史が改ざんされ、未だに名称すら確定していない。それでも関係諸国の民衆は、冷静に平和に解決するための努力を続けている。日本では、9月28日に「市民アピール」が発表され、それに呼応して、10月には台湾や上海で協議の場が持たれた。東シナ海、波穏やかなれと願わずにはおられない。
 被害シナ海に浮かぶ宮古島からこの問題を考えてみたい。争いが今に続くということは、歴史的に帰属の確たる証明がされていないということにほかならない。「固有の領土」なる主張は、近代国家の概念であることからして、歴史的な評価に耐えることではないこと。古来、この島々は好漁場にして近隣の海人(うみんちゅ)たちに活用されてきたこと。その近隣とは先島であり台湾だ。
 そこから見えることは、第一に、日本・中国共に主張に無理がある。1895年まで無主地であり、それを占領したとする日本の論理は通用しない。事実は、日清戦争の帰趨を見ながら、領土に編入した、でしかない。また中国にしてみても、16世紀頃に、航路標識としてこれらの島々を位置づけていた、でしかない。その程度のことでは、いずれも「固有の領土」と主張する根拠としては確たるものではない。
 第二に、琉球・台湾は、それぞえヤマト・中国に編入される以前には、個別の”クニ”をなしていたのであり、こうした歴史を無視した、大国主義の論理が色濃く押し出されたものでしかない。琉球・台湾共に”独立”が地下水流として波打つ。仮に両国の論理を前提としても、この島々は琉球のものだ、もしくは台湾のものだというしかないのであって、「固有の領土」であるはずがない。
 第三に、呼称は「イーグンクバシマ」と、差記事まで古来より呼ばれてきた名を当てる。海人には、その経験と固有のすべこそが全てであって、書物に残す習慣はなかった。だから証明できないことの忸怩たる思いはあるが、自然条件からして、古来の言い伝えからして、新崎盛暉さんが提唱する「琉球の生活圏」だとの根拠と、そこを「共通の生活圏とする」との呼びかけに賛同する。ナショナリズムを鎮静させ、開かれたアジアに未来を思う。
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by wtwong | 2012-10-27 13:44 | essay