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 「アジアは平和を選択している」 2015/11/23 ウォン・ウィンツァン

社会というものに意識を向けるようになって今日まで、世界は驚くほどのスピードで変化している!という感慨はますます強くなっています。この数ヶ月を見ても、すごい変化です。

 シリアではロシア空軍による対ISIS空爆が始まり、400万人もの難民がヨーロッパなどに溢れました。そしてパリではISによる同時多発テロがあり192人も亡くなりました。しかしアフガン戦争、イラク戦争、そしてシリア戦争で、民間人の犠牲者は、なんと5〜60万人以上と言われています。フランス軍はロシア軍とともに空爆を強化しました。子供を含む民間の犠牲者が増えています。なんとしても早く中東に平和を実現しなくてはいけません。

 それではアジアに目を向けるとどうでしょう。南シナ海で緊張が高まっていると何度も報道されています。ところがアメリカ軍と中国軍は合同演習を盛んに行っています。上海に米軍艦が寄港し、交流を深めています。そのことはほとんど報道されません。実は南シナ海の緊張はアメリカと中国の間に充分話し合われた結果の完全に出来レースだと判っています。「原子力発電は安全」だと政府や報道がさんざん嘘をついてきたように、今度は「南シナ海は危険」と嘘をついています。

 報道されない、でももっと重要な事としては、11月1日に日中韓による「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」がされたことです。この数ヶ月、日本、アメリカ、中国、韓国の高級閣僚レベル、財界人の交流は非常に盛んです。劇的に関係性は親密になっています。しかし日本では、日米中韓は実はとても仲良しになったことは、報道されません。アメリカや日本政府にとって、対中国緊張が無くなったことを公にしたくない理由があるからでしょう。 

 そうこうしている内に、ASEAN諸国10カ国による、EUのような統一経済共同体が発足することになりました。アジア全体でインドを含めると、35億の人口があります。そこを一大経済圏にしようという動きなのです。中国が発足させたAIIB(アジア・インフラ融資銀行)は、実は世界銀行がバックアップしていることが判ってきました。日本を除く57カ国が参加しているのです。

 そんなアジアの動きの全体を俯瞰してみると、この数ヶ月でアジア諸国は大きくカジを切ったように思います。つまり軍事による覇権ではなく、経済覇権の時代に入ったのです。戦争で儲ける人はごく一部です。アフガン戦争やイラク戦争でアメリカの軍需産業はボロ儲けしました。しかし逆にアメリカの経済は疲弊してしまったのです。平和であるほうが経済が活性化するということが証明されたのです。経済人たちは戦争で儲けることよりも、平和時のほうが全体としては儲かると気づいたのです。人道的な理由ではなく、経済的な理由で平和を選択したのです。とってもリアルな選択ですね。

 アメリカや中国を含むアジア全体に経済協力の波が押し寄せています。つまり軍事的な争いよりも、政治思想的な反目よりも、宗教の違いよりも、歴史認識の相違よりも、まあ、よくも悪くも「経済」を選択したということです。経済発展のためにはアジア全体に緊張は邪魔なのです。アジア全体は平和を選択したのです。この数カ月の動向はめまぐるしいものでした。

 日本の報道は、アジアの経済協力体制がすごい勢いで始まっていることを伝えません。むしろ具体性のない軍事的な緊張ばかりを煽っています。それは一体なぜでしょう。一般の人々にアジアに軍事的緊張があると思わせておいたほうが都合がいいからにほかなりません。もし軍事的緊張がなければどうなるでしょう。新安保法制は必要なくなります。特別秘密保護法も必要ありません。辺野古に基地は必要ありません。過去最大の5兆545億円もの軍事費も必要ありません。原爆の潜在的能力としての原発も必要ありません。日米同盟強化という名目のTPPは、実はグローバル企業による経済侵略です。平和憲法を含む立憲主義を破棄しようとする憲法改正も必要ないのです。

 とくに憲法を改正したい安倍政権にとって、隣国の脅威があると思わせたいのです。軍事的脅威があるから、平和憲法を改正せねばならないと言っています。日本の憲法は、世界的に見て、最も人権に関する項目が多い、今でも世界最先端の憲法です。とりわけ「平和憲法第九条」は世界に類を見ません。この70年、日本は曲りなりにも戦争に巻き込まれずに来ました。アメリカは自衛隊を何度も利用しようとしましたが、それを阻んだのは「第九条」でした。つまり自衛隊を戦争に巻き込みたいアメリカの軍需産業にとって「第九条」は邪魔以外にないのです。

 日本を軍事的に強い国、マッチョな国にしたい安倍政権や右翼勢力や、武器を買わせたいアメリカ軍需産業にとって「第九条」はなんとしても改正したい。しかし、日本には個別的自衛権がありますし、隣国の脅威もなくなった今、憲法を改正する理由はありません。自民党の憲法改正案は、国民の主権を限定し、国家権力を権限を強化するものです。第二次大戦直後、GHQや日本の憲法学者が、民主主義の理想を実現すべき考案したのが、現在の日本国憲法です。素晴らしいプレゼントなのです。世界に誇る日本国憲法を、私は絶対守るべきだと考えています。

 来年の7月に行われる参議院選挙は、日本の大きな分かれ道になるでしょう。野党共闘は未だ流動的ですが、自民党が議席を増やすと憲法は改正されるでしょう。日本に今必要なことは格差の是正、実体経済の支援、貧困対策、子育て支援などなど沢山あります。軍事的にマッチョな日本になることよりも、山積みされた直面する問題に向き合うべきです。日本国民みんなが豊かで幸福になるべく、国民目線の政治が必要な時だと、私は強く思います。来年7月の参議院選挙では、是非日本国憲法を大切に思う政党を応援してあげてください。在日イギリス人ですが、日本を愛するいち音楽家のお願いです。
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by wtwong | 2015-11-30 20:47 | essay