私は立っている
しかし片足だけが
何故か、つま先立っている
左腕はあなたに向かって
差し出されている
しかし右腕が
差し出された左腕に駕っていて
その重みに
耐え続けていなければならない
どうすることも出来ない
この姿勢を続けながら
もうとっくに後悔している

あなたは私を見ている
あなたは私をどう見ていいのか
わからない
ますます右手の重みと
痛みが増していく中で
私はあなたをどう見ていいのか
わからない
どんな眼差しで見ていいのか
わからない

筋肉が硬直し始め
震えと痛みが
腕から全身に広がっていく
痛みに耐えかねて
唸る
唸りながら
全身が揺れる
倒れそうになりながら
姿勢をくねらせている
右腕にますます強く抑えられて
左腕は耐えかねている
上げ続けられない
徐々に腕が落ちていく
それでも、やめようとはしない

つま先立っている片足は
激しく震えている
私は何が何だかわからなくなって
泣いている
耐えかねて
大声をあげながら
激しく泣いている
倒れそうになりながら
ただただ激しく
泣いている
錯乱した意識の中で
私は、それでも
あなたの涙を見逃しはしなかった

激しい痛みと震えの中で
嗚咽はいつか激しい呼吸に
変わっていった
早くなったり
激しくなったり
詰まらせたり
いきんだりしている
細かく震えながら
全身で強くいきむ
なんども何度も
いきんでいる

痺れと熱が全身をかけめぐる
ガーーーと音が聴こえる
強い全身のしびれ
燃え上がり
突き上げる熱い流れ
意識が真っ白になり
気を失いそうになっている
全てはもうどうでもいい
このまま倒れてしまえ

私はこのまま倒れるだろう
「もうどうでもいい」
漂白された意識の片隅で
そう誰かが言っている
その時
私は何かを手放した

・・・・・・

嗚咽が
うたに聴こえる
叫ぶように歌っている
どこかの、遠吠えのような
原始の、何かを呼ぶような
遠くの向こうに、歌っている

私はまだ立っている
相変わらず震えているが
痛みが無い
震えるに任せると
それは振動となって
全身を揺さぶる
振動と共鳴が全身を包む
相変わらず
どうすることも出来ない姿勢なのに
もうその事に囚われていない

私はわたしを見ながら
古代のうたを歌っている
震えと振動は
ああ、なんと気持がいいのだろう
静かにあなたを見る
あなたは透明になって
そこに居るだけだ
うたは徐々に穏やかになって
あなたに向かっている
差し出された左腕は
あなたに触れるほどだ

震えはようやく収まり
痛みも感じない
私はうたに任せながら
あなたを見つめている
あなたの眼差しを感じながら
同じ姿勢で
静かに立っている
ああ、このままでいい
そして、うたは終わった

私は倒れていく
ああ、私はもう逡巡しない

「、、、ママ、、たすけて、、、」

倒れていく私は
あなたに
抱きとめられる
あなたに
抱かれて
倒れる
あなたから
ゆりが
かすかに
かおる

ウォンウィンツァン
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# by wtwong | 2010-04-29 06:43 | Poem