愛するルネへ

およそあなたの相手ではないけど
午後のカフェで
あなたとチェスを打つのが
私の夢でした

あなたの不思議を
知りたいと思う私を
あなたはきっと笑うでしょうね

私にとってあなたの不思議は
その非凡な作品とタイトルの
マジカルな魅力にあるのは勿論ですが
私の興味は
むしろその生涯の凡庸にあるのです

あなたは妻を愛し
友人たちを愛し
日課としての創作を終えて
午後はカフェで友人たちと
大好きなチェスを打つ毎日を
生涯つづけ
なんの破綻のない人生を送った
数少ない
たぶん唯一の天才です
少なくとも私からは
そう見えるのです

あの日、あなたがまだ十代の頃
お母さんの突然の自死を
あなたがどの様に受け止めたのか
私たちは知るよしもないけど
その事を何も語らないあなたの
その佇みにこそ
むしろ多くが語られているのかも知れませんね

あなたの作品は
あなたとよく対比的に語られる
騒々しい狂氣性を売り物にした
シュールリアリストとはまったく違う
ある静寂とポエジーと気品があります

しかし、その内側で
激しい情念のうねりを感じるのは
私だけではないはずです

その由来が何処にあるかなど
あまりにも愚問なので
気を悪くされるかも知れませんね

ルネ
私はあなたの作品と
あなたの生涯を
こよなく愛する者です

あなたは今も天国のカフェで
友人たちと
大好きなチェスをする
毎日かもしれませんね
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by wtwong | 2010-06-20 07:13