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「近況報告と、秋のコンサートのお知らせなど」

容赦無い太陽がコンクリートとアスファルトを焦がしている猛暑ど真ん中ですが、皆様、お元気でいらっしゃいますか。インターネット(Twitter)では毎日、怒涛の書き込みをしていますが、DMでは一年ぶりのお便りになります。

今日は8月11日、「あの日」からちょうど5ヶ月が経ちました。
「5ヶ月が経った」という言葉が、ある虚しさを伴う以外のなんの手応えがないことに、無念な思いがします。
「お悔やみ」とか「お見舞い」とか「いち早い復興を」等、通り一遍の挨拶文がいったいDMを読まれる方の心に届くわけもなく、いっそ何事もなかったように触れないことが、むしろ心遣いなのかもしれないと思ったりします。

3月11日直後から数週間、東京にいる私達家族も言い知れぬ不安と緊張の中いました。
東京を脱出せねばならない事態にもなりかねない、そんな危機感の中、テレビやインターネットから有用な情報を必死に集めたものです。
そのような緊迫した空気は、精神的には追い詰められたような感覚ですから、なるべく身体を活性化しようと、よく家族でウォーキングをしました。
今振り返ると、放射能汚染が一番ひどい時期だったのですが、、、

そして閉塞感を打開するために、息子の提案もあって、インターネットによる音楽配信をやってみようということになりました。
被災地ではインフラのほとんどが壊滅状態でしたから、インターネットが届くわけもないのは判っていました。
しかし「ジッとしていられない」「何かせねば」「今、出来ることをやらなくちゃ」という、むしろ自分たちの自己満足や自己治癒のために始めることにしたのです。
「サトワより祈りを込めて」というUSTREAMによる音楽配信は、3月16日からほぼ毎日、35回にわたってサトワ・スタジオからコンサート形式で続けられました。
35回も持続的にコンサートをするのは、私にとっては初めてで、自分の限界を知る上で貴重な体験にもなりました。
(アーカイブをHPにアップしましたので、お時間のある方はご試聴ください)

また、4月6日には三鷹市「風のホール」で鈴木重子さん(歌)田口ランディさん(朗読)ウォン美枝子さん(朗読)を迎えてチャリティーコンサートを開催することも出来ました。
たった一週間しか準備期間がない中、沢山の協力を得て約500人の方にご来場いただき、支援金を被災地で活動するNGOに送ることも出来ました。
コンサートの最後、会場に来てくださった皆さんと「ふるさと」を演奏しながら、涙が止まらなかった。
忘れがたい奇跡的なコンサートになりました。
ご来場くださった皆さんに心から御礼申し上げます。

そして4月18日、私たちはプリウスにお水や救援物資をのせて、ワイフの美枝子さんの出身地である本吉町(気仙沼の隣町)に向かいました。
現地では被災された方や地域コミュニティーで頑張っているボランティアスタッフたちのお話を伺い、避難所ではピアノを演奏させてもらったりしました。
また、津波に飲み込まれた本吉町、気仙沼、陸前高田を見て回りました。
全てが飲み込まれ、全てが綯い交ぜになってあとには瓦礫と混沌だけが残されていた被災地。
目の前に広がる夕闇の中に橙色の満月がのぼり始め、とても地球上とは思えないような光景を生涯忘れることはないでしょう。

さて、今回のDMは秋のコンサートのお知らせです。
10月23日大阪・サンスクエア堺、11月12日東京浜離宮朝日ホールです。
「透明な水」というコンサートタイトルは、釧路でいつも主催してくださる川原智道氏の文章から頂きました。
氏の放射能への悲惨と哀しみについて書かれた文章は、私の想いを代弁してくれたように思います。
原発事故による放射能汚染は、掛け替えのないものを奪い、健康被害の脅威にさらしています。
もうすでに子供たちの被曝が検査の結果わかりはじめています。
特に子供たちや妊婦を、できるだけ早い時期に被曝から退避させねばなりません。

311以降、原発事故に関して色々勉強する中、電力企業と行政の隠蔽と捏造を目の当たりにし、唖然とする思いでした。
いわゆる原子力ムラと称される、企業、学者、政治家、官僚、新聞TV等メディアの利権とお金による、アディクショナル(嗜癖的)な共依存関係は、まるで薬物中毒者のそれを見るようです。
彼らは既得権益と癒着を維持するためには、改ざん、隠蔽、捏造、も平気でやる存在であることを目の当たりにしました。
そして彼らは、良心ある科学者、アーティスト、識者、一般人を社会的に抹殺してきました。
このような「悪」が習慣的に行われているのは、構造や制度に問題があるというほかありません。
そのような自己中な組織に、原子力発電などという危険な事業を任せて、安全の保証など有りえません。
もう二度と原発事故を起こしてはなりません。
そんな事になれば、日本は終わってしまいます。
「地震国日本で原子力発電をやるのは余りに危険が大きすぎる。なるべく早く原発は止めるべき」というのが、今の私の強い願いです。

311以来、Twitterで、すっかり政治的な発言が多くなっている自分に驚きです。
今はそれも必要なことなのでしょう。
中断しているエリック・サティの録音も再開したいし、映画「純愛」のジャンチンミン監督の新しい映画のための音楽の製作も今月中に終わらせなくてはいけません。
(映画音楽は殆ど美音志くんに任せているので私は楽なんですけどね)
また、映画ガイヤシンフォニー7番の最後に歌っている吉野大地くんの新しいCD「聖なる空間」も北海道ツアー(10/30帯広、11/1釧路、11/3札幌)の前にリリースされる予定です。
今年1月に再結成されたフリー・インプロヴィゼーション・グループ「白カラス」も活動を始めたいし、ジャズやソウルもやりたいし、、、
やりたい事はいっぱいありますね、、、

長くなってしまいましたが、311以降の活動と秋のコンサートのご案内でした。
ではでは、コンサート会場で、皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。

ウォンウィンツァン
2011/08/11
# by wtwong | 2011-09-05 18:15 | essay